くも膜下出血(脳出血)

くも膜下出血とは

くも膜下出血脳は、最も外側にある硬膜、中間のくも膜、内側の軟膜という3層の膜に包まれています。くも膜下出血は、くも膜と軟膜の間で起きる出血です。多くの血液を必要とする脳のために、この隙間には太い動脈がたくさん走っています。この部分の動脈に血管壁が膨らんだ脳動脈瘤ができて、それが破れて起こるのがくも膜下出血です。太い動脈が破れるため広範囲の脳機能への血流が阻害され、大量の出血により脳が強い圧迫を受けるため、重篤な障害を起こしやすく、脳血管障害である脳卒中の中でも最も死亡率が高くなっています。

症状

  • 突然頭痛が起こって痛みが治まらない
  • 急に激烈な頭痛に襲われる
  • 硬いもので殴られたような強い頭痛に襲われる
  • 頭痛がひどく、立っていられない

くも膜下出血の前兆症状

前兆症状として、脳卒中の症状が現れて、しばらくすると消えることがあります。こうした症状に気付いたら、解消しても必ず受診してください。放置してくも膜下出血を起こすと命の危険にもつながる可能性があります。
くも膜下出血の前兆の特徴的な症状として、血圧が激しく上がったり下がったりすることがあります。生活習慣病がある場合には、血圧をこまめに計測して、理由に心当たりのない血圧の乱高下があったらすぐにご相談ください。他には脳卒中で起こりやすい頭痛、めまい、吐き気や嘔吐、意識低下などを起こすことがありますが、しばらく休むと回復します。ただし、回復した場合も放置しているとくも膜下出血を起こす可能性が高いためできるだけ早くご相談ください。なお、前兆として起こる頭痛は起こらないこともありますし、その強さもさまざまです。

原因

脳に栄養や酸素を運ぶ太い動脈はくも膜の下を走っています。日本におけるくも膜下出血発症の原因はその約9割が、脳動脈の血管壁が膨らんでできた脳動脈瘤というコブが破れて出血して起こっていると考えられています。動脈瘤ができる原因には、先天的な要因による嚢状動脈瘤と、動脈硬化による紡錘状動脈瘤、そしてストレスなや動脈硬化などによる解離性動脈瘤があります。未破裂動脈瘤を発見できた場合には、適切な治療によりくも膜下出血の発症の予防も可能です。

治療法

くも膜下出血は再破裂による出血を起こすことが多く、特に24時間以内に起こる可能性が高いとされています。脳組織へのダメージや命の危険も再破裂によって一気に高くなってしまいます。そのため、くも膜下出血で受診した場合には、再破裂防止のために開頭手術や血管内手術を行う必要があります。
未破裂動脈瘤が発見された場合には、手術を検討します。動脈瘤のある場所や大きさ、形状、サイズの変化、既往症の有無や動脈硬化の状態によってリスクが変わるため、破裂する可能性が高い場合には手術をおすすめしています。