こんな症状があったらご相談ください
- 突然、顔の左右片側が麻痺した
- 顔が意志と関係なくピクピクけいれんする
- 顔面が激しく痛む
- 表情を自分で変えられない
- 眉を上げたり、額にシワを寄せられない
- 目を閉じることができない、閉じにくい
- まばたきがうまくできない
- うまく噛めない
- 飲みものが口角からこぼれる
上記のような症状がある場合、顔面麻痺やけいれん、または脳梗塞などの可能性があります。早めにご相談ください。
顔面の麻痺やけいれん、痛みが起こる原因
顔面麻痺、顔面けいれん、顔面の痛みは、顔の筋肉を動かす顔面神経や顔の痛みを感じる三叉神経への障害によって起こっている場合と、脳梗塞など脳血管の重大な疾患によって起こっている場合があります。どちらも、当院のような脳神経外科で適切な検査と治療が受けられますので、気になる症状がありましたら気軽にいらしてください。
顔面けいれん
ご自分の意志と関係なく、顔面の筋肉がピクピクけいれんします。顔面神経に血管が触れ、その刺激によってけいれんが起きているケースが多いのですが、脳腫瘍でもこうした症状を起こすことがあるため、必要であればCTなどの検査を行います。人前に出るお仕事など支障を生じる際には特に、けいれんを止める治療が必要です。
顔面神経麻痺(ベル麻痺)
顔の表情は、顔面神経によってコントロールされています。この顔面神経が障害を受けて麻痺し、顔面筋のコントロールを失った状態が顔面神経麻痺です。急に症状が起こった場合には、できるだけ早く受診して治療を受けてください。
顔面神経麻痺(ベル麻痺)の原因
末梢神経性の麻痺(ベル麻痺)によるものが多くなっています。帯状疱疹やヘルペスなどのウイルス感染・血行不良などの関与が指摘されています。他に、脳腫瘍や脳卒中などによって顔面神経麻痺を起こすこともあります。はっきりとした原因がわからないケースもあります。
ハント症候群
帯状疱疹のウイルスによるもので、顔面麻痺、耳介(外に張り出している部分)や外耳道の水疱、難聴などの症状を起こします。
顔面神経麻痺(ベル麻痺)の治療方法
脳腫瘍や脳卒中などの疾患によって症状を起こしている場合には、その治療を行います。それ以外のウイルス感染などが疑われる場合にも早期の治療が重要です。治療では、副腎皮質ホルモンや抗ウイルス薬などが投与されます。顔面神経が何らかの圧迫を受けていることが確認できた場合には、神経周囲の骨を削って血流を改善させる顔面神経減荷術も検討されます。手術をご希望される場合には、連携している高度医療機関をご紹介しています。
三叉神経痛
三叉神経は顔面の感覚を司っている神経で、刺激に対してとても敏感です。三叉神経痛は食事や洗面などをきっかけに、歯・鼻・目の周囲から顔面に激しい発作性の痛みを生じる疾患です。はじめのうち痛みは秒単位で治まりますが何度も繰り返します。ただし、痛みのない時には、感覚低下などの症状はありません。症状に関する問診と画像検査で診断できます。
三叉神経痛の原因
脳幹から枝分かれする三叉神経の根本は特に鋭敏で、三叉神経痛ではこの部分に血管や腫瘍などが触れた圧迫刺激によって痛みを起こしています。
三叉神経痛の治療
一般的な鎮痛剤が使われることはなく、神経の興奮を抑制する薬剤の処方が基本です。ただし、この薬が合わない方や、激しい痛みがある方には、ブロック注射や手術といった治療法も選択肢となります。どちらも、当院では行っておりませんので、連携している高度医療機関をご紹介しています。ブロック注射は数日の入院が必要な治療法で、三叉神経の根本に行うことで痛みの消失効果が1年から数年期待できます。手術は若い方の根治治療として行われるケースが多く、耳の後ろの毛髪のある部分を切開して頭蓋に小さな穴を開け、顕微鏡で三叉神経の根本を確認して圧迫している場所を見つけ、そこをスポンジで保護することで痛みを軽くします。こちらは2週間程度の入院が必要になります。
原因として考えられる脳疾患
脳梗塞
脳梗塞は脳の血管が詰まって生じます。詰まっている部位によって、顔の麻痺、けいれん、痛みが起こることがあり、呂律が回らない、手足の左右片側が麻痺するなどをともなうこともあります。
脳出血
脳の比較的細い血管から出血が起こっている状態です。出血を起こしている部位によって、顔の麻痺、けいれん、痛みが起こることがあり、言葉がうまく出ない、飲み込みにくいなどの症状をともなうことがあります。
脳腫瘍
脳腫瘍でも、三叉神経痛による顔の痛み、顔の麻痺、けいれんが起こることがあります。検査によって脳腫瘍の有無、大きさや位置などを観察して、診断します。
顔にけいれん・麻痺・痛み、そして表情がうまく変えられないなど違和感がある方へ
顔の症状は視覚や会話などに大きな影響を与えるため、症状があると不快感が大きく、人前を避けたくなってしまいます。また症状が悪化すると、パソコンを長時間使うのがつらい、長時間の運転ができないなど、人前に出る機会が少ないお仕事にも悪影響を与えます。こうした症状は、脳腫瘍や脳梗塞などの初期症状として現れていることも考えられますので、気になる症状や違和感がある場合は適切な治療で解消するためにも、脳神経外科専門医を受診しましょう。