生活習慣病による動脈硬化が脳卒中や心筋梗塞などの原因
過食や食生活の偏り、飲酒・喫煙習慣、運動不足、不規則な生活などの生活習慣によって発症し、ほとんど症状なく進行していくのが生活習慣病です。そして、生活習慣病は、日本人の死因で長く上位を占めている脳卒中や心筋梗塞の原因となる動脈硬化を静かに進行させてしまいます。また、失明や足の壊死、人工透析が必要になる腎不全などを起こす怖い合併症を起こすこともあります。
代表的な生活習慣病には、高血圧・糖尿病・脂質異常症(高脂血症)・高尿酸血症(痛風)があります。また、肥満で、こうした生活習慣病が2つ以上あるメタボリックシンドロームでは、検査の数値が悪くなくても動脈硬化が進行しやすくなります。生活習慣病は、地道な治療を続けていい状態にコントロールできれば動脈硬化の進行を抑えて脳卒中や心筋梗塞のリスクを下げることができます。生活習慣病の治療には生活習慣の改善が不可欠ですが、できるだけストレスなく改善するためには早期発見と治療が重要です。
健康を守ることは、患者様が自分らしい人生を思いきり楽しむために行うことですから、健康だけを追い求めて厳しい制限を課すことは必要ありません。治療の目的や目標を患者様と医師が共有して、それに沿って患者様ができるだけ無理なく行える方法を探していくことで、続けていくことができます。生活習慣病の治療は続けることがなにより重要です。当院では安心して相談いただけるよう、きめ細かく配慮した診療を行っています。
生活習慣病がある方、健康診断の結果で再検査や要精密検査を指摘された方、自覚症状はなくても生活習慣が乱れていて健康不安がある方は、お気軽にご相談ください。専門分野である脳神経外科専門医の立場から、脳疾患のリスクをしっかり見極め、そうした疾患を起こさないようにするための生活習慣病治療を行っています。お気軽にご相談ください。
高血圧
安静にしている時の血圧が正常範囲を超えている状態で、血管に強い圧力が常にかかるため動脈硬化を進行させ、脳疾患や心筋梗塞などのリスクを上昇させます。動脈硬化で血管のしなやかさが失われると血管が狭く・もろくなり、血管が破れてしまう・血栓で詰まる可能性が高まります。高血圧の原因はほとんどが生活習慣であり、改善によって血圧を下げることが可能です。十分に下がらない場合には適切な薬剤を用いた薬物療法が必要になります。また、他の病気やその治療で服用している薬が高血圧発症にかかわっている場合もありますので、総合的な診療が重要です。
脂質異常症(高脂血症)
血中に含まれるLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪が多い高脂血症、あるいはHDL(善玉)コレステロールが少ない状態を脂質異常症と呼びます。動脈硬化を進行させ、プラークという脂肪のかたまりが血管壁に付着して血管が細くなったり、プラークがはがれて血流に運ばれた先で詰まって脳卒中や心筋梗塞を起こす可能性が高まります。
主な原因はカロリー過多や脂肪分の多い食事といった食生活、生活習慣、運動不足などです。女性は閉経後に発症リスクが上がってしまうため、それまでは問題がなかった方も注意が必要です。
脂質異常症は、自覚症状に乏しい生活習慣病の中でも、特に自覚症状なく進行する病気です。健康診断などで指摘を受けたら、できるだけ早く治療を受けるようにしましょう。
糖尿病
血糖値が高くなってしまっている状態で、主に膵臓が分泌するインスリンというホルモンの不足や働きが弱くなることで発症します。糖尿病にはウイルス感染をきっかけにして起こる免疫異常が発症に関連している1型と、生活習慣が重なって起こる2型があって、糖尿病全体の98%は2型です。糖尿病による高血糖が続くと動脈硬化を進行させ、毛細血管にも大きなダメージが蓄積します。毛細血管の豊富な目の網膜、腎臓、神経などは高血糖の影響を受けやすく、失明や足の壊死、人工透析が必要になる腎不全などを起こす合併症になる可能性もあります。QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を守るためにも、糖尿病をできるだけ早期に発見して適切な治療を続けることが重要です。
健康診断や人間ドックは生活習慣病の早期発見や進行防止に有効です
健康診断は、項目と数値が並んだ結果だけではわかりにくいのですが、患者様のライフスタイルや既往症、ご家族の既往症などを知ってから確認することで生活習慣病の早期発見や進行防止に大きく役立ちます。また、数回の結果を見比べることで将来のさまざまな病気リスクを知るためにも有効です。
要精密検査や再検査という指摘を受けた場合は、できるだけ早めにいらしてください。また、まだはっきり異常となっていなくても、結果に不安がある場合にも気軽にいらしてください。その際には、健康診断や人間ドックの結果をご持参くださると、より的確な診療を短時間に行うことができます。